はーちんのへるみー:モーニング娘。’18尾形春水卒業によせて

ブログを作ったはいいものの何も書いておらず、何か研究の紹介を…と考えていたのですが、あんまり気張ると続かないと思うので、ひとまず好きなことを書きます。

というわけで、昨日ライブビューイングではありますが参戦してきた「モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2018春 We are MORNING MUSUME。ファイナル 尾形春水卒業スペシャル」(なが…)の感想を書こうと思います。

タイトルにもある通り、今回のコンサートは12期メンバー尾形春水さん(以下、はーちん)の卒業コンサートでもありました。セトリやライブの流れについては以下参照。

https://www.barks.jp/news/?id=1000156582

はーちんは、2014年9月、高校1年生で12期メンバーとしてモーニング娘。に加入しました。色白で、可愛くて、いつも微笑んでいて、中学生までフィギアスケートをやっていたという…白い衣装に身を包んだ武道館での初お披露目。現場で見ていた私は、天使か…!と思ったものです。

そんなはーちんは、歌もダンスも未経験で、しかも(最近では珍しくもないですが)高校生での加入はどちらかと言えば「遅咲き」の部類。おそらく、小学生の頃からハロプロ研修生として活動してハロプロの当たり前=世間の当たり前、くらいに体に染み付かせてきているメンバーとは違った苦労があったのではないかと推察されます。歌割りをなかなかゲットできない一方、つんく曲にたびたび現れる謎のセリフを言う機会は他のメンバーよりも多く与えられていたように思います。

その姿は、はーちんら12期メンバーと入れ替わるように卒業した、6期メンバー道重さゆみ(以下、さゆ)と重なるものです。12期メンバーはそもそも、さゆの補充かと思うくらい可愛い子揃いなわけですが、立ち位置的な意味でさゆと一番重なってくるのは、はーちんなのかなと個人的に思います。というわけで、さゆヲタのたわ言にはなりますが、ここでははーちんとさゆの繋がりに焦点を当てて記述してゆきたいと思います。

モーニング娘。は卒業と加入を繰り返すグループであり、それゆえに誰かが卒業したあとは、一体誰がその卒業メンバーの歌割りを引き継ぐのかに注目が集まります。さゆはなかなか歌割りが増えないと言われたメンバーとはいえ、12年近くモーニングに在籍していたため、さゆフィーチャー曲があったり、短いながらおいしい歌割りがあったりするわけです。12期メンバーにとってはおそらく、このさゆの歌割りの引き継ぎがどうなるかは一つの勝負であったと思います。

12期メンバーの中でさゆの歌割りを最も多く受け継いだのは、熱狂的なさゆファンでもあり、またさゆも熱狂的に愛している、研修生上がりのメンバー牧野真莉愛さん(以下、まりあ)でした。これは本当に、ストーリーとしては美しすぎるくらいの話ですし、ちゃんとさゆをリスペクトしている後輩がたすきを受け取ったんのだ、、、と感じられるのはファンとしてもうれしいものです。まりあは娘。愛も強く、事あるごとにさゆに言及し、しかもメンバーカラーのピンクも引き継ぎ、さゆの「後継者」として認識されるようになります。

しかし、数で言えば少ないものの、これぞ「さゆの歌割り」感のある大事な部分をはーちんは引き継いでいます。それは、2008年発売の名曲「リゾナントブルー」で、ただ一言、しかしラスサビのかなりおいしいところで「ヘルミー!!」(Help me)と叫ぶパートです。

(さゆの「ヘルミー!!」は下の動画の4分31秒くらい)

ここはメインボーカルを取るメンバーが場をしっかり盛り上げ切ったところでラストへつなぐ、一言でしかも半分セリフとはいえすごく重要な部分だと思います。はーちんは、加入後初のフル参加となる2015年の春ツアーでこの歌割りをゲットするのですが、しかし、はーちんの「ヘルミー!!」は大変弱々しく、しかも微妙にタイミングもずれていて、文字にするなら「へるみー」以外の何物にもならない雰囲気を携えていました。

でも、なんというか、その姿はなぜかむしろ試行錯誤の中キャリアを始めたさゆと重なるものであり、本家「ヘルミー!!」には全然似ていないのに、なぜか「さゆっぽい」と思わされる、そんなパフォーマンスだったように思います。

その後はーちんは得意のフィギアスケートでテレビ出演を獲得したり、また神握手対応をするとしてテレビで取り上げられることもありましたが、パフォーマンスについては試行錯誤を繰り返している印象でした。特にはーちんにとって初めての後輩である13期メンバー加入後、はーちんと、同期の羽賀朱音さんがピックアップされ、特別にダンスなどのレッスンを強化される動画が数回にわたってネット配信番組「ハロ!ステ」で放送されましたが、これははーちんにとってものすごく屈辱的なことであったらしく、最近後悔されたインタビューではあまりの辛さにレッスンを休んでしまったこともあると告白しています。

(実際この企画についてはファンの間でも賛否両論がある。おそらく事務所としては、大昔のアサヤン的演出を狙ったのであろうが…)

そして今回、短大合格を機に学業専念というかたちでの卒業となるはーちん。私としては、グループアイドルはとにかく、時間がかかってもこのグループという形態をうまく利用して自分の立ち位置を確保して行くことで大成できると考えているので、はーちんもさゆのようにこれからまだまだ熟成されていくと期待していたので発表時は残念な気持ちが強かった。最近はパフォーマンスも安定の兆しが見え、あとは自信を持てば!という段階にあるように思ったので。現メンバーで言うと、9期メンバーの生田衣梨奈さんや10期メンバーの飯窪春菜さんがちょうど自分の立ち位置を確立し、生田はフィジカルの強さ、飯窪は繊細な表情のワークを生かしてパフォーマンスの完成度を上げてきているように。

そんな思いの中で卒業コンサートを観に出かけたわけですが、中盤であの「リゾナントブルー」が披露され、はーちんが「ヘルミー!!」と叫んだとき、ああ早かったけれどやっぱりこの子の卒業は今なんだな、と悟らされました。「へるみー」と弱々しい声を発していたはーちんはもういない。ちゃんと自分の仕方で「ヘルミー!!」と叫ぶことができるようになったこと、これははーちんにとって娘。としての一つの到達であるように思えたからです。「へるみー」から「ヘルミー!!」へ。はーちんはこの卒業の決意のもと、自分の表現を獲得したのだ。

娘。の卒業コンサートでは、最後に本人の選んだ一曲がソロで披露される。はーちんが選んだのは、2004年発売の「涙が止まらない放課後」。同じく学業専念を理由に卒業した紺野あさ美のセンター曲を選んだということ自体示唆的であるのだが、私はあえて、さゆが初めて長いセンテンスの歌割りを獲得したシングル曲がこの「涙が止まらない放課後」であったことを強調したい。

さゆと入れ替わりで加入した12期の中で、はーちんは特別にさゆとの繋がりが強調されるメンバーではない。しかし、さゆの真髄とも言える、”一言でもおいしいパート”の代表格「ヘルミー!!」を最後には自分のものにし、そしてさゆが初めてフィーチャーされたシングル曲「涙が止まらない放課後」を立派に歌い上げて卒業していくはーちんもやはり、さゆが繋いだ娘。の歴史の一部をしっかり刻んで卒業していく、「さゆの後継者」であったのだ。