2020年5月、妊娠していることが発覚しました。この時点で、予定日は2021年1月8日と言われました。
このとき、どうにかしなくてはいけないこととして、大きく分けて3つのことがありました。今回の記事では、そのうち学振の採用中断制度について書きます。
学振PDの採用中断制度を利用するかどうか
学振特別研究員には採用中断制度というものがあります。これは、傷病や出産・育児などで研究に専念することが困難である場合に、研究専念義務を外れるための制度です。一般的な産前産後休業とは大きく異なり、採用を中断している期間は、一切の給与が支払われません。この点は非常に大きなネックとなります。
とはいえ実際のところ、特に産前というより産後は出産してすぐは体力的に、また育児の負担的に研究をするのはほとんどできません。また産前においても、私はたまたま大きなトラブルがなく陣痛がくる直前まで論文の手直しをしていましたが、切迫早産などハイリスクな出産となれば休養が必要になります。
私は結局、パートナーに金銭的に負担をかけることにはなりましたが、この制度を利用することにしました。
どのように採用中断制度を利用するか
一口に採用中断制度を利用すると言っても、いつからいつまで利用するのか、また後述のとおり「研究再開準備支援」の制度を利用するかどうかなど、決めることはまだあります。
まず採用中断の開始について。これは出産予定日から6週間前の日が属する月の1日から開始することができるとなっています。私の場合、2021年1月8日に出産するのであれば6週間前は2020年11月27日となるため、2020年11月1日から採用中断をすることができます。基本的に1日付で手続きをする必要があるので、この場合、11月1日からでなければ次は12月1日からということになります。どうしようかと思いましたが、早産などのリスクも考え、早めに休みということにしておけば気が楽と判断し、私は11月1日付で採用中断期間に入ることにしました(ただ実際は予定日を大幅に遅れての出産となりましたが)。
次に、いつ採用中断を終えて復帰するかです。これは採用中断前の手続きで指定しておいて、後から変更することもできますが、つまりいつから保育園に預けて仕事を再開するかということなので、計画はしっかりしておく必要があります。私の場合、2021年3月までが学振PDの期間なので、2020年11月から休むと残りの任期を5ヶ月残しての採用中断になります。この5ヶ月をどう使うかが鍵だと考えました。
そこで先に少し述べた「研究再開準備支援」の制度が出てきます。この制度は、「出産・育児により研究に十分な時間を割けない者や、採用の中断から本格的再開に向け、短時間 の研究継続を希望する者」に対するもので、要はいわゆる時短勤務をする期間をつくるみたいなイメージです。この制度を使っている間、給与は半額になりますが、任期は倍になります。…という説明だと若干雑になりますが、具体例を使って説明するとこうなります。研究再開準備支援を使わなければ、私の残り任期は5ヶ月フルタイムで、ということになります。私の場合はこの残り5ヶ月のうち2ヶ月ぶんに研究再開準備支援を適用することにしました。
2021年9月〜2021年12月 研究再開準備支援の期間
2022年1月〜2022年3月 ふつうにフルタイムの期間
というかんじです。5ヶ月のうち3ヶ月は通常復帰、2ヶ月を研究再開準備支援に振り分け。研究準備再開支援の期間は2ヶ月ぶんの給与を4ヶ月に分けて受給しながら、時短で勤務ということになります。半額だとDC以下の金額になり、保育園代もかかるので結構厳しいのですが、0歳児での復帰になるので最初は保育園を休んだりすることも多いだろうし、慣れるまでは早めに迎えに行ったりしたいと思ったので、このようにしました。実際、子どもの世話の面だけではなく、このようにすることでペースはゆっくりでも研究をできる期間自体は伸びるわけなので、精神衛生上もすごく良かったと感じています。
学振PDの残り期間が5ヶ月とごく少なく、2022年度の仕事が白紙の状態での出産・育児期間への突入でした。2021年度の途中、中途半端なときに研究上の身分がなくなるのは避けたかったですし、保育園のこともあったので、「2022年度の仕事はなんとかするとして、2021年度の年度終わりが学振PDの任期終わりと重なるようにする」という前提で、2022年3月がお尻となるような復帰プランとしました。子どもが1月生まれなので、1歳になるタイミングでフルタイムに戻すということにして、そこから逆算して研究再開準備支援に何ヶ月を割り振るのかも決めました。
でもこの計算、すごくわかりづらかったんですよね…なので、学振の担当者の方に何度もメールを差し上げて、一緒に計算していただきました。これが一番間違いないので、自分の復帰プランを立てたら、それが可能なのかは遠慮せず問い合わせたほうがいいと思われます。