学振PDの出産・育児③非常勤講師の仕事

2021年1月に出産予定ということが判明した時点で、まず考えなくてはいけない手続きの2つめは非常勤講師の仕事をどうするかということでした。結論から言うと、私の場合、コロナの影響ですべての講義がオンラインorオンデマンドだったことが幸いしました。

出産に関わってくる2020年度後期は、3コマの講義を担当予定で、そのうち1 コマがリアルタイムのオンライン配信、2コマがオンデマンド配信でした。リアルタイム配信は1月に1回だけ講義がありましたが、それは休講とし、代わりに年内に補講を行いました。また、オンデマンド配信については年内にすべての動画を配信しておき、学生さんには自分のペースで受講していただきました。最後2回分の講義のフィードバックは、出産が済んだあとで文章にして別途アップロードしました。

どの大学に対しても、安定期に入るのを待って、出産予定の旨を窓口になってくださっている専任の先生にメールで報告させていただきました。その際、上記のような対応を取ることを希望していることを伝え、これで何か大学的に問題がないかどうかを確認していただきました。

つまり私は、非常勤講師の仕事については産休・育休を取らなかったということになります。取る場合にどのような手続きが必要になるのかも全く調べませんでした。すべてコロナと、出産予定時期が1月という学期末の時期だったために可能になった綱渡りということになります。

この綱渡りで非常勤の仕事を辞めないで済んだのは大変ありがたかったのですが、つらかったのは採点作業でした。3コマ中1コマは、子の誕生が少し遅れたこともあり、出産前に最終レポートの採点を終えることができました。しかし残り2コマは、産後1週間程度休んだ段階で、早速採点をしなければ間に合いませんでした。幸い夫が育児休暇的な休みを2週間だけ取っていたので、そこでなんとか手が空いたときに少しずつ進めていきました。

今思うと、こういうちょっとずつの無理が積み重なっていき、生後7ヶ月半で保育園に入れる直前までにはかなりの疲れやストレスがあったと感じます。本当なら休みたかったです。でも、ポスドクにとって、非常勤の仕事を手放すことほど恐ろしいことはないのではないでしょうか。こういう状況は改善されてほしいです。

ちなみに、産後3ヶ月のころにスタートした2021年度は、本来であれば前期2コマ、後期4コマの講義を担当する予定でした。しかし通年出講予定の大学でフルオンデマンドが選択できなかったため、特に前期は出講が不可能であったこともあり、代わりの人にお願いしました。そのため前期1 コマ、後期3コマとなり、保育園が始まる前の前期1コマは家族に協力してもらったり、子どもが寝たあとの時間で準備をしてオンデマンド配信をしました。

そのため、学振PDについては採用中断期間を取りましたが、非常勤の仕事を途切れさせたことはありません。でも、これも本当にプレッシャーで、たった1コマと思われるかもしれないけれど、毎週のように涙を流して準備していました。人によっては、私が出産・育児を経てもある程度変わらず仕事をしていることを褒めてくださいます。それについては嫌な気はもちろんしないものですが、しかし主観的には本当につらい時期だったということだけは、忘れないでおきたいと思っています。